横浜市、待機児童ゼロならず。でも、保育所の整備にはベッドタウンの宿命あり
保育所の待機児ゼロで有名になった横浜市で、待機児が発生したとの報道がありました。
横浜市は20日、認可保育所に入れない待機児童数が4月1日現在で20人だったと発表した。2010年は全国最多の1552人だったが、昨年4月に「ゼロ」を達成し、全国的に注目された。それが呼び水となり、申込者が過去最多に。供給が追いつかなかった。
横浜市の待機児童、2年連続ゼロはならず 注目され殺到:朝日新聞デジタル
保育所の整備と聞いて思い出すのが、ベッドタウンの宿命です。
今回は、そんな切り口で書いてみたいと思います。
ベッドタウンの宿命
ベッドタウンそれは、
大都市に働く人々が夜になると寝るために帰ってくるところ
ベッドタウンでは、多くの人が住まうわけですから、生活に必要なインフラ整備の要望が高いです。
にもかかわらず、企業が多いわけではないので、企業からの税収が少ないため、財政がひっ迫してしまう宿命があります。
そんな、生活に必要なインフラの一つに、保育所があるのです。
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人口は、どのように動いているか
横浜市も大都市ですが、昼間の人口は、流入よりも流出の方が多いのです。
横浜市の昼間の人口動態
流入 410,298人
流出 723,741人
差し引き 313,443人の流出超過
特に、横浜市北部における流出が多いことから、東京のベッドタウンとして機能していることが伺えます。
企業税収は、東京都が取る。
生活インフラは、横浜市が作る。
ざっくりとそんな構図もあるんですね。
流出には、市街の学校へ通う学生も入っているので、生産年齢に絞ればもっと人数は少なくなりますが、20万人くらいの人が、市外へお勤めに出られているのではないかと思います。
これはもう、昭和30年代から同じような問題があり、人口の抑制に努めても来ました。
昭和30年代の急激な都市化、人口集中はとくに東京圏にいちじるしかった。東京に収容しきれない人口はまず、横浜方面に溢れでてきたのである。(p.110)
道路や水路は、当然それに接続する幹線道路や幹線水路、河川の整備が必要だし、学校、保育園、公園もいる。商庖や集会所、文化施設もいるだろう。病院や銀行、郵便局なども必要になる。上水と、そのための水源や、下水と、その処理場もいるし、ゴミ焼却場も必要になる。バスや鉄道のサービスもいる。まだまだたくさんのものが必要だが、こうした都市施設の整備とそのサービスによって、初めて都市生活が可能になる。(p.113)
これらの施設やサービスの多くは、立て前上は地元市町村の責任ということになっているが、現行の地方税制や財政は固定的で、このように急激に整備しなければならない財政需要にはとうてい財源がまにあわないのである。かといって、地方税を引き上げて賄うことも許されていない。つまり東京の人口急増を受け入れることによって、地元自治体の財政は破綻し、十分な施設やサービスが提供できず、せいぜい一時的なまにあわせをするだけで、道路の未整備など居住した住民の不満はつのる。(p.114)
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その結果としての、大量の「市街化調整区域」であり、未だに都市開発が可能になっているゆとりの土地も残されているのです。
保育所の運営費
保育所の整備や運営は、市町村が単独で支出しているわけではありません。
例えば、運営費の負担は、国が50%。都道府県が25%。市町村が25%となっております。
ただし、それは児童福祉法における最低基準を基にした負担額であり、市町村の判断で保育士を増やしたり、保護者の負担金を減らしたりすれば、それは市町村の負担になります。
ベッドタウンとは言え、住民税などで収入が増える面もありますが、それは保育所の運営費をどのていどまかなえるものなのでしょうか。
<年間運営費の目安額>
定員 - 年間運営費
60人 - 87,819,240円
90人 - 118,120,380円
120人 - 147,192,720円
横浜市子ども青少年局/保育所整備の手引き(平成25年11月版)
定員60人のところは、1人当たり年間146万円くらいの運営費がかかっているということですね。
このうち、横浜市の負担は25%で、36万円くらいということでいいのかな・・・???
まあ、運営費については、そういう感じです。
まとめ
今回の記事で何が言いたいかというと、
- ベッドタウンには、企業からの収入が少ないにもかかわらず、生活インフラを整える必要があるということ
- 横浜市もベッドタウンの部分があること
- でも、お互いさまの部分もあるよね、広い視野で考えましょう
ということでございます。