現状から飛躍するために、小さなふり返りを支えていく
負けず嫌いであることは、現状から飛躍するためのエネルギーを備えているということであり、頼もしいことだと思います。
ただ、現状から飛躍するためには、ふり返りつつ、自分に足らなかったところを補って、よくしようと思わなければなりません。
ふり返ったり、自分に足らないところを認識したりすることが、知的障害を持つ人の中には苦手な人もいます。
とある、知的障害関係の施設で、サッカーボランティアをしている人がいて、苦い経験を語ってくれました。
「やる気には満ちているし、体もよく動かす。」
「でも、つまずくとすぐに投げ出してしまう。」
「ミニゲームで負けるとボールを強く蹴り飛ばし、プイッとどこかへ行ってしまう」
知的障害を持つ人の中には、どうにも「ふり返る」ということが苦手な方がいて、現状から飛躍するためのエネルギーを、投げ出すためのエネルギー(八つ当たりとか)に使ってしまうことがあります。
おそらく、小さな小さなステップを踏んで、小さな小さな失敗をそれとなく乗り越え、力を付けていくことが必要なのでしょう。
小さな小さな失敗であれば、少しずつやり方を確かめ(ふり返り)ながら、乗り越えていけそうです。
ただ、そこまでの細やかな配慮ができる体制がなければ、最悪、「トラブルを予防するため、サッカーには参加させない」という判断になってしまいます。
サッカーボランティアには、現場職員が1人が付いていたみたいですが、それで負けず嫌いな子4人をケアするのも、なかなか難しかったようです。
小さな小さなつまずきを、ふり返りながら乗り越えていくことは、どんな場面でも保障していきたいです。