「文芸という芸術作品を味わっていいんだ」と思えたひとり旅
ひとり旅に行きました。
目的は特になく、あえて言えば「ひとり旅するため」に行きました。
普段は、仕事に家族にと時間を使うことが非常に多いので、
この圧倒的な「ひとり時間」を有意義に使いたいと思いました。
電車に乗っている時間量は、2時間。
これは、けっこう悩ましい問題です。僕は、乗り物酔いするからです。
パソコンを立ち上げて作業するわけにいきません。
何ができるだろうか。
僕は、読書を選びました。
タブレットだと酔いそうなので、紙の本です。
パソコン作業やタブレット読書はダメだけど、
紙本読書なら、大丈夫な気がしたのです。
片道2時間の電車時間。
この時に読んだのは、以前から読みたかった本。
西加奈子『きりこについて』をチョイス。
序盤は、面白いのか疑わしかったのですが、
中盤からは、一気に引き寄せられましたね。
自分の人生を生きるとは、どういうことなのかを考えさせられました。
もう一回読みたい。
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「電車の中なので、できることが限られている」という制約があってこそ、
普段できない読書ができました。
作品をゆっくり味わうことができました。
これって、何かの感覚に似てるなぁと思ったのですが、
「美術館で、絵を鑑賞している時の心境」
にとても似ていると気づきました。
芸術作品を、じっくり味わうことに集中している状態
これです。
本の中でも、文芸というジャンルが名付けられていますが、
まさに文章による芸術。芸術なのです。表現です。
漫画も芸術です。
美術館まで足を運び、作品を味わう機会はなかなか取れなくても、
文芸作品を味わうことはできそうです。
自分は、芸術を味わうことがけっこう好きなのであり、
その芸術の対象は、絵画や陶器だけじゃなく、文芸や漫画でもいい。
それをしっかり味わう時間をもってもいいんだ。
そう思えたのが、ひとり旅の収穫の一つです。