性格とは、ライフスタイルのことだから、変えていける /小倉広著『アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉』
アドラー心理学として有名な、アルフレッド・アドラーの言葉が凝縮された本を読んでみました。
小倉広著『アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉』です。
この本には、発想の転換を得られた言葉と、「そりゃないよな」という言葉とがありましたので、両方ともご紹介したいと思います。
アドラーは、性格のことを、ライフスタイルと呼びます。
ライフスタイルとは、生き方のクセだと言います。(言葉no.30~38)
これは、すごい発想の転換です。
癖ということは、
- その時々で、うまくやってきた行動
- その時々で、快感だった行動
- その時々で、自分を守ってきた行動
こういう行動の積み重ねだと思います。
それが身に染み付いて、条件反射のように繰り返してしまうのを、癖と呼ぶのでしょう。
そのような生き方の癖が、ライフスタイルであり、アドラー流に言うと〈性格〉なのでしょう。
〈性格〉というと、もう変えられないものだと思いますよね。
生まれついての、不変で、ずっとついてまわるもの。
でも、ライフスタイル(癖)であれば、変えられます。
なぜそのような癖がついてしまったのかを振り返り、癖を直すことはできるのです。
癖は、「その時々」でうまくいった行動を積み重ねてきたという点が、やっかいです。
「その時々」ではうまくいったかもしれませんが、そのうちにうまくいかなくなることも多いにあり得ます。
例えば、周囲の環境が変わった時。
「うまくいく」というのは、周囲と摩擦が起きず、円滑にいくということです。
アドラーは、周囲(コモン)とうまくいく感覚(センス)を重視しています。
コモンセンスに沿うことで、幸せになれるということです。
当然、周囲が変われば、コモンセンスも変わるので、今までうまくいっていたライフスタイルが合うとは限りません。
ライフスタイルの見直しをすべきタイミングなんですね。
あるいは、自分が変わってきたために、周囲と合わなくなってきた、ということもあるでしょう。
そこには、自分が今まで大事にしてきた生き方の癖、自分が守られてきた生き方の癖を見直して、〈突破〉すべきものがあるのかもしれません。
今までの生き方に感謝して、壁の向こう側へ飛び出してみるのもありです。
アドラーは、ライフスタイルは0歳時から築き始めるので、その時点から甘やかしていけない。泣いてもすぐに抱っこせずに、おもちゃを置いておけ。独り立ちできなくなる。と言います。(言葉no.93)
おいおい、そりゃないよな。ないない。
赤ちゃんは、泣くことで大人を呼び、不快を取り除いてもらい、やっと安心感を得るのです。
安心感を充分に得られるからこそ、次のステップへチャレンジできるのです。
大人を信頼できるからこそ、他人とつながろうと思えるのです。
それを、置き去りにされたらどうなるか。
大人や周囲の世界は、信頼できなくなるのです。
小さい頃から、自分のことは自分で守らなければならないと、周囲の環境は脅威に映ります。
脅威に怯えるので、アンテナを常に張り、他人の顔色を伺って、機嫌をとりもつことになります。
常にアンテナを過剰に張ると、刺激に対して反応が早くなります。落ち着かなくなるのです。
他人を頼らずに自分だけの力でやろうと思っても、失敗が多かったり、たいしたことはできません。そして希望を失っていくでしょう。
あまりに小さい頃からの自立は、独り立ちを妨げるのです。
周囲にうまく依存しつつ、貢献しつつ、自分の願いも叶えていくことが独り立ちなのであって、周囲に依存しないことは孤立でしかありません。
同じ本で、アドラーを源流とする現代心理学の言葉が紹介されています。
“刺激と反応の間には、「認知」「意味付け」という主観がある。刺激に対する「認知」「意味付け」を変えることで、反応(行動)を変えることができる。”(言葉no.9)
この刺激と反応の間にある「認知」の幅を広げるものが、小さい頃からの安心感であり、他人や周囲への信頼感です。安心感・信頼感がないと、刺激→反応という距離が近くなってしまうのです。
そのために、赤ちゃんや小さい子は泣いたら抱っこする。何をしてほしいのか思いを巡らし、あれやこれやで不快を取り除き、安心してもらう。
それが大人の役割だと思います。
この本の全体的なメッセージとしては、
人生は、自分で変えられる。
ということだと思います。
シンプルに。
そう、人生は自分で変えられる。
このメッセージは、深く心に受け止めたいと思います。