トヨタの「効率化」の寄付は、本当に役立ったのか。ボランティア支援の難しさ
少し前に、トヨタが得意の「改善」を寄付したことが話題になりました。
トヨタが「効率」を寄付してくれた…アメリカのチャリティに導入された工夫が話題に:らばQ
ボランティアや社会貢献の在り方について、ちょっと考えさせられましたね。
こういう活動もいいよなぁ、と。
そしてその後、事態は本当に完全へ向かったのかが気になるところもあるので、書いてみました。
僕の勝手なイメージで話しますが、トヨタの改善によって、物流や情報が無駄なく、スムーズに流れだしたのでしょう。
180秒かかっていた作業が、11秒に短縮されたのですから。
そこでイメージするのが、ベルトコンベアです。
作業員は、次々と流れてくる箱に対して、特定の物品だけを詰め込み、次の人に送ります。
それを延々と、黙々と、スピーディに繰り返す。
実際がどうだか分かりませんよ。
ただ、そういう作業に変わったのなら、ボランティアさんって、達成感を得られるのかな?という疑問があるのです。
一見、非効率に見える作業の中にこそ、ボランティアさん同士の、あるいは支援を受ける人とのコミュニケーションがあったんじゃないかな。
それが、効率によってそぎ落とされてしまったのではないか、と。
コミュニケーションが、ボランティア活動の重要な楽しみでもあったんじゃないか、と。
もし、ボランティアさんが楽しみを失ったのであれば、また次に来ようと思うのかな。
もし「つまらないから、もう来なくていいや」とボランティアさんが思ってしまったら、事態の改善に役立ったのか、疑問が出てきます。
ただ、じゃあ、ボランティアの目的って何?という話にもなります。
今回の記事によれば、フード・バンクという食糧配布チャリティによって、生活困窮者に食糧をとどけることが最大の目的です。
ボランティアさんも、それを最大の目的に来ているはずです。
であれば、より多くの人に食糧が手渡ることにこそ、もっとも喜びを感じてもいいのでしょう。
効率化によってそれが実現できたのであれば、喜びもひとしおなはずです。
なのに、「食料は多く配れたけど、効率化で自分の楽しみが減ったから、不満」というのは、ちょっと筋違いとも思えます。
「じゃあ、ボランティアさんが楽しめるように、あえて非効率にしましょう」とか、「作業段階を増やしましょう」とか、そういう話にもなってしまいます。
一体、誰のための活動なのか。
生活困窮者のためなのか、ボランティアさんのためなのか、という話が出てきてしまいます。
今回で言えば、フード・バンクというチャリティ活動の本来の目的を最大限尊重し、かつボランティアさんが楽しめるような工夫。
それこそ、求められてる「改善」でしょう。
単純に、効率化すればいいというものではなく。
ボランティアという、報酬の関係ない活動では、一般的な企業活動とは違った視点が求められ、難しいところもあるのです。
ボランティアさんが、継続して参加していただけるように、どんどん改善されればいいなぁと思っています。